自分小史(BLOG)

自分史の準備運動「第4」

前回は、つくった自分史マトリクスを俯瞰して、
そのマスとマスの間にある「見えない線」を見つけ、
そこに線を引いてみましょうという話をしました。
さて自分史の準備運動、今回は最終回。
無数にある線のうち、どの線に注目するかによって
多種多様な自分史ができるという話をします。

自分史の種類について

自分史のパターン

自分史の種類ってどれくらいあるかご存じですか。
自分史と言って普通にイメージするのは、
たとえば自分の生い立ちから今日まで、
どんなことがあったかを書いていくスタイルだと思います。
これは、歴史書でいえば「通史」というジャンルになります。

通史というのは、コトバンクの説明によれば
「一時代または一地域に限らないで、全時代、全地域に
わたって述べた総合的歴史。古代から現代までの全体的歴史」
ということになります。
早い話が、過去にあったことすべてを網羅した歴史ですね。

ということは、通史じゃない歴史書だってあるということで
少し寄り道して、歴史書のバリエーションを見てみましょう。

歴史書のバリエーション

「正史」という言葉があります。
これは、国家などが編纂した歴史書のこと。
一方、国家ではない個人などが編纂した歴史書は「外史」です。

次に「略史」(りゃくし)があります。
これは、すでに作られた続編を意味し、たとえば
企業の40年史を作ったのち10年が経過し、50周年を記念して
40年史に続く10年分をまとめたもの、というイメージです。

「小史」というのは、全体を俯瞰するのではなく、
特別な出来事にフォーカスを当てたり、特別な人物、時代などに
スポットライトを当てて編集した物が小史に該当します。

さらに一歩踏み込むと、「卑史」(ひし)というのがあります。
これは正史に対して重要ではない歴史書という意味と同時に
「小説風の歴史書」という意味もあるようです。

自分史マトリクスと歴史書

小さな「自分通史」

さて、最初に通史とは
「全時代・全地域のすべての歴史を網羅したもの」
であるという話をしました。

ここで先週の話を思い出していただきたいのですが
自分史マトリクスの説明で、
「ヨコ軸が空間、タテ軸が時間」と書きました。
それは通史の「全地域・全空間」と同じ。

つまり、先週作っていただいた自分史マトリクスとは
自分の「通史」(のミニチュア)なんですね。

いわば、自分史マトリクスとは「自分通史」なのです。

なんでもアリの「自分小史」

同様に、自分史の中にも「小史」があるわけです。

小史とは先ほども書きましたが、全体を俯瞰するのではなく、
特別な出来事にフォーカスを当てたり、特別な人物、
時代などにスポットライトを当てたりして編集した物です。

たとえば、幼い頃だけの話をまとめれば「幼年記」。
学生時代の話をまとめれば「学生時代の思い出」。
(めちゃめちゃ古い本で恐縮ですが、井上ひさしさんの
『モッキンポット師の後始末』(講談社文庫)は
学生時代の思い出をつづった小説としては最高です)

あとは、仕事時代の話をまとめて「仕事史」。
リタイヤしてからの「自由勝手日誌」。

これらは自分史マトリクスのある時間帯を水平方向に切り出して
その中に張り巡らされた「線」をたどっていくという構成です。

一方、垂直方向の線をたどるという構成もあります。

たとえば、自分の幼い頃からの趣味をたどる「趣味の歴史」。
学生時代に熱中していたギターを、社会人になってやめて
リタイヤしてから再び始めてしまう話なんかがそれに当たります。

この垂直方向の話は、長ければ長いほど読みごたえがあります。

エッセイは、まさに自分小史

そして、垂直方向も水平方向も思い切り短くした話、
ひとつの出来事にスポットライトを当てた小史はどうでしょう。

過去のひとつの出来事を思い出しながら、そのとき
自分が何をして、どういう思いだったか、そして
周囲の人とどのような会話をしたかを書いていく。

これが、いわゆるエッセイです。

つまり、自分史というのは、自分の来し方を思い出して
一から順に書いていく「自分通史」だけではなく、
自分史マトリクスの線をつないだ文章であれば、
すべて「自分小史」になるということです。

自分史マトリクスをどう切るかはあなたのアイデア次第。
自分史のスタイルは無限にあるのです。

まとめ

いかがでしたか。自分史マトリクスを使えば
さまざまな自分史がつくれそうだということが
イメージしていただけたのではないでしょうか。

自分史をつくってみようかと思い立った人は、いきなり
文字を書き始めるのではなく(それもいいのですが)
まず落ち着いて深呼吸しながら、モチベーショングラフと
自分史マトリクスをつくることをお勧めします。

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